「この世の音とは思えない」。
そんな感想を語っておられた方もいたライアーの美しい響きから
今回のおはなし会は始まりました。
それは、日常では相容れない 『天上界』 と 『地上界』 とを
架け橋となって結んでくれるような
そんな妙なるいざないの音でした。
8歳の娘が語ったグリム童話 『星の銀貨』 は
持っていたもの、この世のものを一つひとつ、手放してゆく物語。
「 あ げ た 」
このことばが、凛とした響きで発せられるたびに
喜びと解放に満ちたあの世の光が差してきて
気が付くと
自分の内が、きらきらと輝く銀貨で満たされているのでした。
後半は宮澤賢治 『竜と詩人』 。
語りの直前直後には、強い風が吹いてきて窓を揺らし、
何人かの方は「あ、龍が来た!」と感じられたそうです。
『虚空』という
言霊と無の世界に全身でダイブして
最後にタオライアーの響きを聴いたとき
とても大きな竜が、
喜びと共にぐねぐねと目の前を泳いでいる姿が見え
「ああ、いつまでもこの音を聴いていたい・・・」
そんな気持ちに包まれました。
終演後は外に出ると、
空に大きな御顔の龍雲が。
「竜と詩人・・・神と人間は、きっと
互いを真に必要とし合っているのではないか」
今回の稽古の日々において、
わたしはだんだんとそんな風に感じるようになりました。
人だけでなく、神もまた
人との繋がりを深く求めている。
だからこそ、
「神に語りかけ、神のことばに耳を澄ます。」
この行為こそが、
神と人との結びつきを真に強め、確かなものへと導いてゆく・・・
今回の 「おはなしペチカ」 では、そんな 『神と人との共同作業』 を
わたし自身が体験させていただくことができました。
龍は、神は、
ほんとうにあの場に降りてきてくださった。
そして、目には見えねども
ある 「確かなるもの」 がこの世に産まれた。
今はその誕生の祝福のなかで、ぼんやりと寛いでいます。
最後になりましたが、
この時空間をともに創りだしてくださったすべての方々に
改めて感謝御礼申し上げます。
冬の寒い中、足を運んでくださった聴き手の皆さま
貴重な写真を撮ってくださった 山本美紀子さん
素晴らしいライアーの音を奏でてくれた足利智子さん
また堂々と舞台に立ってくれたかさねと
裏方でずっと支え続けてくれた夫
そしてこの一年間の歩みを
導き、支え、守り、育て続けてくださった
龍神さまへ
こころの底から、ありがとうございました。
皆さまどうぞ、よいお年をお迎えくださいね!
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